だがね,相手のことが全部わかってしまったら,相手の信用できない面まで全部わかってしまう。秘密にしたいことをどれだけ秘密にできるか,それが,親密な人間関係でも,ユーザーと検索エンジンとの間にも,重要なこととなる(referrer 「キノの旅」#1)。
quote:検索エンジンは,検索しているユーザーの心を読むことはできないので,「ジャガー」という言葉が動物なのか車なのか見分けられない。だがユーザーのウェブサイト閲覧と人口統計情報から,ユーザーのニーズにあった検索結果を出す次世代検索技術開発が進んでいる。
グーグルが検索エンジンのトップに立った理由は簡単だった。人の手によるリンクを信じ,たくさんの人がみている良質なページからリンクされているリンク先を,重要度が高いとした。ページの作り手がページに書き込んだ情報を無造作に集めてきて,それをただ提供するのではなく,リンクの関係から検索結果を提供した。ただ,それだけだった。でもそれでは,大多数の人には満足いく検索結果となるが,一部の人にはなかなか目的の検索結果をしめせない。「エルメス」で検索した多くの人はファッションブランドのエルメスに関する情報が表示されればよいが,ファッションなんてどぉでもいい,アニメ命の人には「キノの旅」に出てくるしゃべるバイク(違うな,モトラドか)のこと以外はいらない。それをきちんとしめせるのが,次の検索技術の一部らしい。
ただそうなると,自分がどんな興味を持っているか,どんなものには全然興味がないかを検索エンジンに知ってもらう必要が出てくる。とは云うものの,スパイウェアみたいなまねをされるのも心底いやになる。渡す情報はきちんと確かめてから渡したい。そして,どこまで自分を渡せるかをきちんと把握したい。昨今個人情報が流出するような話が多いが,たとえ流出しても信用できる相手に渡してしまったのなら,「仕方ない」と思うしかない。だが,よくよく考えれば全然信用なんかできない団体や会社に個人情報を渡してしまったのだとしたら,それは渡したユーザーのミスであり,ユーザーは自分を責めてしかるべきだ。さて,ヤフーは信用できるか,グーグルは信用できるか,msnは信用できるか。ユーザーと検索エンジンの関係は,そういう度量が求められていく。
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